矯正歯科とは、専用の装置で歯を動かすことによって、出っ歯、八重歯、隙っ歯、受け口などの不正咬合をキレイな歯並びに治す歯科治療です。歯列矯正とも呼ばれます。
矯正治療を行うことで、口元の見た目が改善するだけでなく、虫歯や歯周病になりにくく、よく噛める機能的な歯並びにすることができます。
当院の審美矯正のコンセプト
歯列矯正とは、歯並びをキレイに整える治療法です。そのため、患者様の主訴も見た目の改善を目的とするケースが多くなってきます。しかし、治療直後に歯がキレイに並んでいたとしても、長期的にそのキレイな歯並びを維持できるとは限りません。
当院の審美矯正は、とりあえず歯をキレイに並べて、見た目を改善するだけではなく、長期的にそのキレイな歯並びを維持できる口腔内環境を作ることをゴールと考えています。
そして、そのような本当の意味での審美性を達成するためには、4つの段階が必要です。
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- 原因の除去
- 歯並びが悪くなるのには原因があります。その原因を取り除かずに表面上の治療を行なっても、再度同じ問題が発生してしまう可能性は残されます。そのため、まず第1に虫歯や歯周病を治し、歯ぎしりやくいしばりから生じる問題を解消する治療を行います。
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- 咬合
- 問題の原因を解消した後に、機能的な咬み合わせを構築します。詰め物、被せ物、入れ歯、インプラントなどや歯列矯正によって咬合機能を回復することができます。
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- 長期予後
- 再度問題の原因が発生しないように、メインテナンス(歯磨き指導、クリーニング、PMTCなど)、フッ素、シーラント、ナイトガードやスプリント、口腔筋機能療法などの予防処置を継続的に行なっていきます。
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- 審美
- これらの土台の上に、初めて長期的に持続する審美治療を行うことができます。
機能的な咬み合わせや口腔内の衛生管理などを実現せずに、今この瞬間の美しさを求めてもその美しさは長期的に持続することなく崩壊する運命を避けられません。
当院での審美矯正は、この診療方針に基づき、長期的に持続する審美性を求めて実施しています。
矯正装置の種類
インビザライン
インビザラインは、米国アライン・テクノロジー社が提供するマウスピース型の矯正装置です。現在までに世界100カ国以上の国々で900万人を超える人々に利用されています。
インビザラインでは、患者様ごとにカスタムメイドされたアライナーと呼ばれるマウスピース型の矯正装置によって少しずつ歯を動かします。
そして、アライナーを2週間ごとに交換することで、徐々に理想の歯並びに近づけていきます。アライナーは、透明で目立たないため、見た目を気にせずに矯正治療を受けることができます。
インビザラインの特徴
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- 目立たない
- インビザラインのアライナー(マウスピース)は透明なため、装着していてもほとんど見えずに気づかれません。
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- 取り外しができる
- 食事や歯磨きをするときには取り外すことができます。ワイヤー型の従来の矯正装置に比べ、お口の中を衛生的に保つことが簡単で虫歯にもなりにくくなっています。
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- 痛みが少ない
- 1つのアライナー(マウスピース)で動かす歯の移動距離が0.25mmまでと決められているため、過度な力がかかりにくく、痛みが出にくくなっています。
光学式口腔内スキャナー - iTero Element 5D -
光学式口腔内スキャナーとは、歯と歯列の3Dデータを取得する小型化カメラのような医療機器です。IOS(Intra Oral Scanner)とも呼ばれます。
口腔内スキャナーの先端部分に付いたカメラで歯を撮影し、デジタルデータを取得していきます。撮影した3Dデータはすぐにパソコンで確認でき、遠くの技工所などへも瞬時に送信することができます。
この口腔内スキャナーを用いることによって、従来の粘土のような素材による歯の型取りを行う必要がなくなります。これを光学印象と言います。この光学印象によって、従来よりも楽に、速く、正確な型取りを行うことができます。
当院が導入している口腔内スキャナー「iTero Element 5D」は、インビザラインで使用できる唯一の口腔内スキャナーで、歯列の変化、治療計画を3Dデータでシミュレーションすることができ、それをモニターで確認しながら説明を受けることができます。
- 術前
- 術後
ワイヤー&ブラケット(ワイヤー矯正)
歯の表面にブラケットという装置を取り付け、そのブラケットにワイヤーを通して歯を引っ張ることで、歯を移動させる矯正法です。上顎、当院では、白くて目立たないブラケットを使用します。
当院の審美矯正の治療例
インビザライン+矮小歯の被せ物
インビザラインで歯並びを整え、矯正終了後に矮小歯に被せ物をすることで、審美性と咬み合わせを同時に回復しました。
矯正治療後に被せ物等の治療を行う際には、どのような大きさ、形状の被せ物を入れるのかによって、動かす歯の距離や位置が変わってくるため、矯正治療開始前に最終的なゴールまでの計画を立て、総合的な治療計画のもとで治療を進める必要があります。
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- 術前
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- 術中
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- 術後
治療内容 | インビザラインによる歯列矯正とラミネートベニアによる補綴治療 |
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目的 | 歯列のデコボコ(叢生)の改善と矮小歯の審美回復 |
副作用・リスク | 歯肉退縮、歯根吸収、痛み・違和感、治療後の後戻り |
治療期間(回数) | 6ヶ月 |
費用(税抜) | 825,000円(内訳:インビザライン725,000円、セラミックラミネートベニア100,000×1本) ※矯正管理・調整料は別途費用がかかります |
歯周病治療+ブラケットによる矯正治療
歯周病が重症化すると、歯を支える骨が減り、咬む力に耐えきれずに歯が倒れていきます。
一般的には歯が唇側に倒れ、出っ歯のようになるフレアアウトと呼ばれる状態になることが多いですが、この患者様のように元々不正咬合があるケースでは、その不正咬合を助長する方向に歯が倒れていきます。歯周病を治しただけでは、倒れた歯は元に戻りませんし、矯正治療で歯を動かしても歯周病が改善していなければ再度歯は倒れてきます。歯が動く原因となっている歯周病を治した後に矯正治療を行うことで、審美性と機能性を同時に回復することができました。
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- 術前
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- 術後
治療内容 | 歯周病による病的な歯牙移動に対するブラケットによる歯列矯正 |
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目的 | 噛み合わせの改善と前歯の審美障害の改善 |
副作用・リスク | 歯肉退縮、歯根吸収、痛み・違和感、治療後の後戻り |
治療期間(回数) | 約1年6ヶ月(歯周病治療10ヶ月、矯正治療8ヶ月) |
費用(税抜) | 515,000円(内訳:全顎ブラケット矯正515,000円) ※矯正管理・調整料は別途費用がかかります |
矯正治療+咬合調整
左側の奥歯が咬めておらず、咬んでいる右側の臼歯が早期接触している結果、顎が右にずれていました。矯正治療で左側の奥歯を咬めるように歯を動かし、早期接触している歯を咬合調整することで、機能的な咬み合わせを実現しました。
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- 術前
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- 術後
治療内容 | インビザラインによる歯列矯正+咬合調整 |
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目的 | 奥歯の噛み合わせの改善と口腔機能の回復 |
副作用・リスク | 歯肉退縮、歯根吸収、痛み・違和感、治療後の後戻り |
治療期間(回数) | 11ヶ月 |
費用(税抜) | 725,000円(内訳:インビザライン725,000円) ※矯正管理・調整料は別途費用がかかります |
矯正治療とインプラントによる咬合確保
左下5番の交叉咬合が原因で左下6番に負担がかかり、歯根破折し抜歯となりました。
5番が内側に傾いているため、ブリッジも入れ歯の金具をかけることも困難な状態でした。そのため、矯正治療により5番の歯を動かし咬み合わせに加えることによって歯根破折となった原因を排除しつつ、6番のスペースにインプラントを埋入しました。
矯正治療後にインプラント治療を行うため、矯正治療開始前に埋入スペースを考慮し最終的なゴールまでの計画を立て、総合的な治療計画のもとで治療を進めています。
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- 術前
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- 術後
治療内容 | インビザラインによる歯列矯正と欠損部分へのインプラント治療 |
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目的 | 奥歯の噛み合わせの改善と欠損部の咬合の確保と口腔機能の改善 |
副作用・リスク | 歯肉退縮、歯根吸収、痛み・違和感、治療後の後戻り |
治療期間(回数) | 治療中 |
費用(税抜) | 1120,000円(内訳:インビザライン725,000円、インプラント治療による欠損補綴治療395,000×1本) ※矯正管理・調整料は別途費用がかかります |
上顎前歯のみの部分矯正+ダイレクトボンディング
この患者様のケースでは、矯正治療のみで歯をキレイに並べようとすると、歯列弓(馬蹄形の歯並びのアーチ)の大きさを縮小する必要がありました。その場合には上下顎、両方の矯正を行う必要があり、咬み合わせも変わってしまいます。また、歯列弓の大きさを縮小するということは、舌のお部屋(舌房)も小さくすることを意味します。
それに対して、歯列弓の大きさを変えずに歯列を並べると歯と歯の間に隙間ができますが、咬み合わせも変わらず、舌のお部屋も小さくなりません。矯正後にできた隙間はダイレクボンディングで審美性を回復することができます。そのため、機能面でのメリットを考え、こちらの方法を採用し、審美性と機能性を同時に回復することができました。
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- 術前
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- 術中
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- 術後
治療内容 | ブラケットを用いた部分矯正とダイレクトボンディング |
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目的 | 前歯のデコボコ(凹凸)と歯列空隙の改善 |
副作用・リスク | 歯肉退縮、歯根吸収、痛み・違和感、治療後の後戻り |
治療期間(回数) | 6ヶ月(矯正治療期間1〜2回/月×6ヶ月、ダイレクトボンディング1回) |
費用(税抜) | 175,000円(内訳:部分矯正費用150,000円、ダイレクトボンディング25,000×1本) ※矯正管理・調整料は別途費用がかかります |