一次救命処置の大切さ〜安心・安全な医療提供のために〜
2022.07.19
ご無沙汰しております。院長の戸田です。
本日、7月18日海の日ににAHA(American Heart Association=アメリカ心臓教会)のBLS(Basic Life Support=一次救命処置)のプロバイダーコースを受講し、成人と乳児の一次救命のスキルチェックテストと筆記試験を受けて、無事BLSプロバイダーとなりました事をご報告申し上げます。
過去にも受講した事があるような気もしますが、プロバイダーのライセンスの有効期限が2年で切れることと、有難い事に心肺蘇生が必要となるような場に遭遇しなかったことで、私の頭からも消えかけていたためいい機会となりました。
冴えない頭で試験に必要なAHAのガイドライン2020を読み進めていく中で、当院の診療理念でもある《安心・安全な医療提供をする》うえで、とても重要なことが書かれていました。
それが、チームダイナミクスとクローズドループコミュニケーションです。
決して英語で難しく伝えたい訳ではないですが、歯周病治療やインプラント治療と同じように、救命処置においても国際基準のガイドラインがあり、上記は医療現場では知られている看護師の国家試験にも出るようなワードらしいです。
【 チームダイナミクス】とは
(ダイナミクスとは英語で動力学のこと)
チームが個人に、個人がチームに与える影響のことで、チームの中のメンバーが他のメンバーからのサポートを得て業務を遂行できたり、チームの目標を達成したりする相互依存することで発揮する力のことです。
救命処置の現場において、『患者の“命”はチームダイナミクスにかかっている』と断言されてます。
私たちかいり歯科クリニックのような外科処置が多く、急救の患者が来院する医療現場においてもとても重要な能力ということになりますね。
効果的なチームダイナミクスは以下の3要素になるそうです。
①役割と責任
②コミュニケーション
③デブリーフィング(事後に行う報告会)
それぞれについてまとめます。
①役割と責任
明確な役割及び責任の割り当て ⇨
チームメンバー全員がそれぞれの担当と責任について明確に理解できていれば、チームはより円滑に機能するということ。
自分の限界の把握 ⇨
チームのメンバー全員が自分の限界を知っておく必要があるということ。
またチームリーダーも各自の限界を把握しておく必要があるということ。
建設的な介入 ⇨
チームメンバーかチームリーダーかにかかわらず、別のメンバーが誤った行動や不適切な行動をした場合を指摘しなければならないこと。
気配りをしながら建設的な表現で介入することが重要。
チームの誰であっても、役割に関わらず、声にして他のメンバーの間違いを犯すことを防止すべきである。
②コミュニケーション
知識の共有するために情報を声に出して要約する ⇨
それにより処置の記録をリアルタイムに行える。
声に出して要約することで、他のメンバーが処置中の患者の状態変化などに対応する手助けとなる。
ここで大切な技法が⇩⇩⇩
☆クローズドループコミュニケーション☆
(クローズド=閉ざされた(空間) ループ=反復 コミュニケーション=会話)
誤解や治療ミスを避けるために使用される重要な技法
メッセージを発する人と、それを受けて復唱する人がいて
発信者はメッセージの復唱から把握して
各メンバーを名前で呼びアイコンタクトで判断する
メンバーは作業を声に出すことで、作業を理解していることを確認する
周りのメンバーも作業を理解してサポートに入れる
明確なメッセージを伝える ⇨
・簡潔ではっきりした言葉を使う
・聞き取れるように大きい声で話す
・冷静で自信に満ちた声のトーンで話す
相互の尊重をする ⇨
チームメンバー全員が、個々のスキルレベルや受けた経験や訓練に関係なく、お互いに敬意を表しプロとしての態度で接する。
③デブリーフィング(報告会 )
報告会は処置が終わった後、一つ一つのことの処置の内容の目的などを振り返り明らかにして、将来の臨床現場における改善点の提案のために役立つ。
報告会は、教育、質の向上、及びストレスに満ちた救命処置に参加した感情の処置を行う機会となる。
デブリーフィングは、チームメンバーのパフォーマンスを向上させ、チームの長所や短所の特定に役立つことが明らかとなっている。
我々かいり歯科クリニックでは、プロジェクトMINATOという医院改革の一貫で、上記の大半を実行できるシステムや環境を皆と共に整えてきました。
ただ、救命処置のガイドラインの中で、
・明確な役割と責任分担によるチーム医療の重要性
・声に出し復唱し、声に出して要約して伝える現場のコミュニケーションの重要性
・建設的な表現と冷静さの重要性
・診療中以外での報告会などのコミュニケーションの重要性
を明確に示してくれることで、我々の《 安心・安全な医療提供をする》ことに対する“軸”は間違ってないことを再認識しました。
私も至らぬ点が多々あるため明日の臨床から気をつけたいと思います。
我々かいり歯科クリニックスタッフ一同ら、AHAのガイドラインに基づいた医療従事者として、患者様に安心・安全な医療提供をしていきたいと思います。