『バクテリアセラピー』はじめませんか
2015.09.18
ご無沙汰しております。かいり歯科クリニック院長の戸田です。
突然ですが、虫歯や歯周病の原因はなんだと思いますか?
虫歯 → 虫歯菌(S.ミュータンス菌)
歯周病 → 歯周病菌(P.g T.f T.d菌など) です。
つまり歯科領域の二大疾患である、虫歯と歯周病は細菌感染症なんです。
当院では、小さなお子様の虫歯や、成人の歯周病やご高齢者の誤嚥性肺炎の新しい予防法として『バクテリアセラピー』に取り組んでおります。
今回はその『バクテリアセラピー』について説明したいと思います。
『バクテリアセラピー』とは、ノーベル生理学・医学賞の審査本部があるスウェーデンのカロリンスカ医科大学が中心となって開発したすぐれた善玉菌を体内に補給し、悪玉菌の力を押さえ込んでいこうという取り組みです。
健康な人の体内には、もともと悪玉菌と戦う強い力をもった善玉菌がたくさん共生していました。しかしながら、ストレスや食習慣の変化など要因はさまざまですが、強い力をもつ善玉菌が現代人の体内から失われてつつあるということが、近年の研究で明らかになってきています。
同様に、もともと体内にいた善玉菌には特に優れた力をもつ善玉菌がいることも、最新のバイオテクノロジーの研究でわかってきました。
この特に優れた力をもつ善玉菌を、『プロバイオティクス』と総称します。
つまり優れた善玉菌(プロバイオティクス)によって口内菌のバランスを管理することで、お口だけではなく、全身の疾患の治療補完や予防につなげていきます。
『バクテリアセラピー』にもちいるプロバイオティクスは、「ラクトバチルス・ロイテリ菌」(以下 L.ロイテリ菌)です。
L.ロイテリ菌は、ヒトの母乳(特に初乳)・口腔内由来の乳酸菌です。
新生児の消化菅に最初に定着をする乳酸菌でもあります。
乳酸菌のヒトへの定着率は生活習慣病や衛生状況などにより変わりますが、L.ロイテリ菌は都市部より郊外に住む母親の母乳からより多く検出されることがわかっています。
L.ロイテリ菌は胃酸や消化酵素への耐性があり、優れた定着性があるなど、プロバイオティクスとして望ましい特性をすべて兼ね備えています。また、消化管内や口腔内において、善玉菌と悪玉菌のバランスに大きく影響を与えることが研究により確認されています。
《ヒト母乳由来の乳酸菌 プロデンティス・チャイルドヘルスの効果》
・口腔内では虫歯・歯周病・口臭予防
・胃ではピロリ菌の発育抑制
・小腸では免疫力強化によるアトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー症状の改善
・妊婦さんが摂取すると母乳の乳質の改善。出生後、赤ちゃんのアレルギーの発生率軽減
・抗生物質による胃腸の副作用軽減
・大腸では便通を整えます
確かに歯ブラシを頑張ることは大切です。しかし、虫歯菌や歯周病菌の一時的な活動性を抑えても、歯ブラシを少し怠ると菌は元の量に戻ってしまいます。
そこで、当院では虫歯菌や歯周病菌といった悪玉菌に変わって善玉菌であるL.ロイテリ菌を取り入れる事で、悪玉菌を抑え込む『バクテリアセラピー』を推奨しております。