歯周病専門外来⑤〜歯ぐきが下がる状態(歯肉退縮)について〜
2024.07.09
かいり歯科クリニックの院長の戸田です。
最近患者様から「 歯ぐきが下がってきたのが気になる」というご相談を受けることが増えてきました。
そこで今回は歯ぐきが下がる、歯肉退縮について記載させて頂きます。
歯の周りの歯肉とは
歯の周りの顎の骨(歯槽骨)
歯の周りの歯ぐき(歯肉)
など、歯の周りには下図の歯周組織と呼ばれる歯を支える組織(青線の範囲)がございます
歯ぐきが下がる(歯肉退縮)理由
大きく分けて以下の3種類があります
1️⃣炎症(歯周病の進行)による歯肉退縮
2️⃣非炎症(歯ブラシなどの外的刺激)による歯肉退縮
3️⃣歯科治療(矯正治療による歯の移動)による歯肉退縮
それでは簡単ですが、一つずつ説明させて頂きますね
1.炎症(歯周病の感染)による歯肉退縮
上図の青色の線の歯ぐき(歯肉)、オレンジ色の線の歯槽骨の裏打ちがあって支えられています。
つまりオレンジ色の歯槽骨が歯周病や外傷などの何らかの理由で失うと、青色の線の歯ぐき(歯肉)も同時に失うことになります。
それが下図のような感染による炎症性歯肉退縮です。
2.非炎症(歯ブラシなどの刺激)による歯肉退縮
これは歯周病による病気が原因ではなく、歯ブラシなどによる外からの刺激による歯肉退縮になります。
また非炎症性の歯肉退縮のリスクは2種類に分かれます。
それは生まれ持っての先天的なリスクと、
生まれてからの習慣による後天的なリスクです。
【先天的リスク】
・歯根が歯槽骨からはみ出している
・歯肉が薄い
・付着歯肉が少ない、小帯などの可動粘膜
【後天的リスク】
・歯ブラシの毛が硬い
・ブラッシング圧が強い
・ブラッシング時間が長い
・ブラッシングの頻度が高い
3.歯科治療(矯正治療による歯の移動)による歯肉退縮
実は歯を支える歯槽骨には厚み(幅)がございます。
注意して頂きたいのでが、歯槽骨というのは顎の骨本体ではなく、あくまでも歯を支える骨であり顎の骨の一部です。
【重要】歯槽骨は歯を失うと顎の骨から歯と共に失います。。
この『顎の骨』『歯槽骨の幅』『歯』をお家で例えると
『顎の骨』=家の骨組み(外壁)
『歯槽骨の幅』=お風呂場
『歯』=お風呂に入っている人
つまり、矯正治療などで歯を過度に傾けて歯槽骨から外に出してしまうと、歯は歯槽骨に裏打ちされた歯ぐきの外に出てしまう状態、
お家で例えると少し違いますが下図のように家から体の一部が外に出た状態になるということです。
歯肉は歯槽骨の裏打ちがないと安定してその位置に留まることができません。
つまり歯肉で覆われていた歯が、歯肉から外に露出した状態になる、結果として歯ぐきが下がった歯肉退縮の状態になるということです。
残念ながら歯周病が進行すると、①炎症性の歯肉退縮は避けることは困難です。
しかしながら②非炎症歯肉退縮や③歯科治療による歯肉退縮は、早期問題発見や CTを含めた治療計画によって回避することが可能です。
また歯周病で歯を失った場合に、ブリッジ・入れ歯・インプラントといった人工的な歯を補う治療の際も、治療後に歯肉退縮メインテナンスがしやすく歯肉退縮が起きづらい環境(歯ブラシが当てやすい環境)を作るために失ってしまった歯の周りの骨(歯槽骨部分)や、特に歯茎(歯肉)の再生も考慮することも可能です。
【参照】〜歯の周りの歯肉の再生(遊離歯肉移植)〜についてはこちらから
かいり歯科クリニックでは【安心】【安全】【最良】の医療提供を前提とし、『正しい診査・診断』に基づく『わかりやすい説明』を大切にし、「虫歯」や「歯周病」などの病気の予防だけでなく、お子様の《歯並び予防》に至るまで、『原因にアプローチ』をすることで治療ステージではなく『予防ステージを維持』のサポートができるようにスタッフ一同日々取り組んでおります。
歯肉退縮を含めて歯でお困りの方は、まずはきちんとした『診査・診断』から行いますので、お早めにご相談下さい。